「爪水虫」 一覧
爪白癬(爪水虫)とは?
日本人の10人に1人が罹患していると言われている「爪白癬」。
俗に言う「爪水虫」は足白癬(足水虫)の長年の放置などによって発症します。
しかしながらほとんどの方が放置、あるいは爪水虫専用ではなく足水虫用の市販薬で済ますなど、十分な治療が行われていません。
足水虫は年齢と共に罹患頻度が上がり、男女ともに50~60歳でピークを迎えます。その後、足水虫は慢性化して、爪に移動し、爪水虫を発症します。このため爪水虫の場合は男女ともに年齢とともに増加していく傾向にあります。
爪水虫になると爪の見た目が黄色くなったり、爪が厚くなったりします。厚さが増すと痛みが出ることもあります。見た目の悪さや痛みも爪水虫の問題点ですが、何よりも最大の問題は、他人にうつしてしまうことです。放置しておくと、水虫菌を周りにばらまいて、感染源になってしまうということです。
大切な家族や友人に水虫をうつしてしまう可能性があるので、爪水虫に気づいたらすみやかに治療することをおすすめします。
爪水虫の4つのタイプ
爪水虫は爪が真菌に感染する症状ですが、真菌のうち90%が白癬菌となっています。
爪水虫は主に感染する場所によって次の4つに分類されます。
遠位・側縁部爪甲下真菌症
爪の先端や側面から症状が始まるタイプ。もっとも頻度が高いタイプです。
表在性白色爪真菌症
爪の表面に菌が付着して始まるタイプ。症例としては珍しい。老人に多く、特に老人ホームでよく見られるタイプ。
近位部爪甲下真菌症
爪の根元から始まるタイプ。海外ではエイズ患者に多いと言われている。日本では糖尿病や循環器系の持病を持った人に多い。
全異栄養性真菌症
上記3つの症状が進んで爪全体が侵されたタイプ
爪水虫に似た疾患
爪水虫には他に似た症状の疾患があり、目で見ただけでは区別がつかない場合があります。
爪水虫とよく間違われる疾患には次のようなものがあります。
乾癬・掌蹠膿疱症
皮膚病の一種が爪に現れた状態。ピッキング(貫通孔)と呼ばれる凸凹や、爪の剥離が見られる。
爪甲鉤弯(こうわん)症
爪を伸ばしすぎが主な原因。爪が曲がったり変形したりする症状が現れる。
爪異栄養症
爪が変形する疾患。原因は不明。爪水虫と誤診されることが多い。
爪水虫の診断方法(検査法)
爪水虫の診断には「KOH直接鏡検」と「真菌培養検査」があります。このうち「真菌培養検査」は時間がかかるため、「KOH直接鏡検」がよく用いられています。
KOH直接鏡検
爪水虫は白癬菌が爪の中に潜んでいるため、それを取り出して直接目視で確認するのがもっとも確実な診断法となります。
KOH直接鏡検の方法は、爪の病変を直接採って、顕微鏡のカバーグラスに載せ、爪を溶かすための苛性カリを垂らしたあと顕微鏡で観察します(温めると爪が溶けやすくなり時間短縮となります)。
白癬菌がいる場合は、糸状の菌糸や、数珠つなぎになった球状の菌糸が見られます。
KOH直接鏡検のポイントは検体の採取場所です。検体の採取場所が悪いと、白癬菌を見逃してしまう場合があります。
最も一般的な爪の先端から白癬菌が入り込む「遠位・側縁部爪甲下真菌症」では、爪の先端部よりも爪床から検体を採取するのが最も望ましいです。爪の先端部にも白癬菌は存在しますが、水分が少ないため、活性が落ち、死にかけたような状態になっていることが多く、鏡検の際に見逃してしまう場合もあります。
爪水虫の診断については、似たような疾患があったり、検査もやや特殊なため、皮膚科・美容外科など、経験のある専門医に診てもらうのが確実です。
爪水虫の薬
爪水虫の治療薬には、内服薬と塗り薬がありますが、基本的に医師による診察後に処方されるのみで、市販はされていません。このため、爪水虫の治療には通院することが必須となります。
足水虫用の塗り薬はたくさん販売されていますが、爪には浸透しづらいため、爪水虫には適していません。
効果的な市販薬の登場が待たれるところですが、現在のところそのような予定はないようです。
しかし、薬という位置づけではありませんが、爪水虫の専用品も販売されているようです。これらの商品は爪への浸透力に特化し、殺菌作用のあるジェルを、爪の中に届けるタイプの商品です。
【参考サイト】
爪水虫の市販薬・塗り薬